【オススメコメント】
黒咲練導氏初単行本。登場人物は主人公とヒロインの二人だけ。「学生」且つ「恋人同士」であること以外、読者に与えられた情報は一切ありません。二人の「年齢」も「馴れ初め」も、そして「名前」でさえも……。そんな二人が他愛のない会話を交えながら主人公の部屋でゲームをしているだけのストーリー……。ただそれだけ、たったそれだけの内容を極上のラブストーリーにまで昇華させた著者の半端無い力量にただただ惚れ惚れしてしまうオススメの単行本。ひきこもり体質で感情を余り表に出さない主人公に対して、アクティヴ且つ直情&攻撃的な性格のヒロイン…対極的な性格を持つ二人が「キス」と云う単語をキーワードにして「一つ」へとドロドロに溶けていく過程を扇情的に描いたのが本作品。特に描き下ろし後日談における二人の台詞廻しの「逆転現象」にはニヤニヤが止まりません。そして、主人公の言動一つで喜怒哀楽の感情を爆発させるヒロインの表情を追ったコマ運びの絶妙さは、兎にも角にも見事の一言。主人公の顔面に平気で蹴りを入れたかと思えば、「発情」してしまった時に魅せる普段とは違う「女」の顔……そんなヒロインのグルグルと変わる表情に戸惑いつつも、不器用ながらも懸命に彼女を受け入れようとする主人公の姿に、羨望と嫉妬を覚えて仕方がないったらありゃしない。読み進めるにつれドキドキ感が溢れ出して止まらない、そんな甘い甘い純愛物語を是非とも多くの方に堪能していただきたいと思わずにはいられないオススメの単行本です。
コメント:渡邉
11/29UP