内容紹介
十四世紀、現ドイツである神聖ローマ帝国が治めるエギナ河口の荘園モール庄に赴任した騎士ルドガーは弟・リュシアンを連れ訪れる。そこは人と流通が途絶え、その日を生きることで精一杯な貧しい村であった。実の父に疎まれ、半ば追放されたとも言える任務に村を見て更なる失望を抱くルドガー。しかし、三角洲にある泉に住む謎の美女・レーズと出逢い、彼女の望みを知ったとき自分がすべきことを見いだす。
貧しき村を人々が行き交う街に成長させる。若き騎士と謎の生命体、二人の出逢いが歴史を創り出す。
もう語るまでもないSFでライトノベルでも人気を誇る小川一水氏。
人類を進化させる。大地震からの都市復興。月への都市建設。とゼロから作り上げていく物語を幾つも発表してきましたが、今回以前大絶賛をした「
導きの星」を発表した角川春樹事務所から今度は中世時代村から街へと発展させる男達の物語を描いた新作発表。
今回も表紙イラストが村田蓮爾氏とこの組み合わせで期待しないでいられないであろうか。延期延期でヤキモキさせてようやく手元に届いた作品は、待たせていたことを忘れさせてくれる期待通りの作品となりました。
今回の舞台は中世ドイツ。謎の生命体の手助けを得ながら、村を不可能だと思われた街に成長させていく。
困難にも屈しず、自分の野望を達成させるために血反吐吐きながら戦い続ける男。熱い熱すぎるぜ!盗賊達の襲撃、騎士との集団戦争、一騎打ちなど燃えるバトルも見所ですが、ここはラブロマンスも忘れずにと姫との恋というありがち言うなーーーという萌える展開も詰められております。
人類を遥かに越えた生命体の科学力という小川一水氏らしいスパイスは要所要所で物語を飽くことをさせず、一気に最後まで読ませてくれます。
遥か昔に思いを焦がしながら楽しめる1冊です