作:瀬尾つかさ/画:美弥月いつか
魔王が60年周期で赤い月からやってくる。
人間と竜、妖精、そしてエルフやドワーフといった多種多様な種族は、強大なちからを持つ竜を中心に戦い、都度、魔王を討ち果たした。しかし60年前、魔王は現れず、共通の敵を失った人々は互いに争い、いくつもの国が滅びた。
それから60年。
豊かな自然に囲まれた辺境の町に住む狩人の少年グレイのもとに、浮遊機動島ネクサス・シティにある賢者の学院から一人の少女が現れた。
少女の名はアリシア。賢者の学院に留学したグレイの妹フィーネが行方をくらまし、各地の遺跡や聖遺物を破壊して回っていること、そしてグレイが狩場としている魔の森、その奥深くにある遺跡を目指してフィーネがこちらへ向かっていることを告げる。
アリシアとグレイは、フィーネを見つけ真意を問いただすべく森の奥へと向かうが、二人を待ち構えていたのは、かつてないほどに殺気だつ魔獣たちの群れだった
アリシアとグレイを待つ運命とは、そして赤い月からやってくる魔王とは――
瀬尾つかさが贈る本格ハイ・ファンタジー、ついに登場!
アリシア・コンケネティア
勇者の血を引く運命の少女
本編ヒロイン魔法国家コンケネティアの第十三王女。魔王のちからを封じる能力を持ち本来ならば国を超えて敬われるはずだが、六十年前、予言された魔王は出現しなかったことで、無用なものとして扱われている。二年前、実家の跡目争いの結果、彼女の家が属していた派閥が凋落。賢者の学院に納める学費や生活費を仕送りに頼れなくなった彼女は困窮し、現在は冒険者として自らのちからで資金を稼いで生活している。グレイの妹「フィーネ」と出会い、親友になる。
フィーネ・ラプトン
世界を変革する最強の妹様?!
グレイの妹で、この物語の始まりとなる少女。精霊を視ることができる兄の特殊な力のことを知っている。人当たりが良く友達も多いように見えるが、真に心を開いている相手はアリシアたちごく一部。妹のことを過度に溺愛する兄のことを嫌いではないが、困ったなーと思っている。賢者の学院への留学を熱望し兄の元を去った。そしていま、フィーネの結んだ絆が世界を救う??
グレイ・ラプトン
精霊を視る力を持つ少年
本編主人公。辺境の城塞都市タブルの郊外に居を構える貴族、ラプトン家の若き当主。普通の人間には見えない精霊の姿を視る力を持ち、精霊たちに好かれている。狩猟を得意とし、弓矢をはじめさまざまな武器の扱いに精通し、村人を脅かす魔物を幾度も仕留めてきた。妹のことを過度に溺愛しており、フィーネが賢者の学院に留学するといい出したときも猛反対したが、最終的に押し切られた。妹の親友アリシアが現れ、妹の失跡を知った。
スリン
脳筋なれど無双の槍使い
グレイを敵と誤認し戦いを挑み追い詰めるも、賢さが足りず……。フィーネとの交友から、自然とアリシアやウェンディとも仲は良くなったが、アリシアたちほどフィーネのことを深く信用しているわけではなさそう。数々の失態から、これ以上のトラブルを危惧したアリシアに説得され、本巻では早々に退場し学院へ送還される。
睡蓮のウェンディ
天然系魔法使いの妖精族
人間でいうと十五歳程度。実年齢は……。ちょこまか動き、手先がとても器用だが、その本質は観察者と研究家。小柄ながら胸はとても大きい。勝手な思い込みで突っ走ることがあり、走り出したら止まらないのが玉に瑕。アリシアとグレイをくっつけようと画策する。「……ともだちのお兄さんは、ともだちです!」